気管支喘息、慢性蕁麻疹の治療薬にゾレアという薬があります。
ゾレアはオプジーボで有名になった分子標的薬という種類の薬です。
スギ花粉のシーズン(2〜4月)に従来までの内服薬や点鼻薬などの薬を使いつつ、ゾレアを月に1〜2回注射すると花粉症の症状を楽にすることが出来ると期待されています。
このゾレアが2020年から新たにスギ花粉症の治療薬として認可されました。
今年の2月から女優の川口春奈さんをイメージキャラクターにしてスギ花粉症の治療薬としてゾレアの宣伝が始まったそうなのでこれから目にする機会が増えるかもしれません。
ゾレアの使用条件
ただし、スギ花粉症であれば誰でもゾレアを使えるわけではありません。
ゾレアを使うにはいくつかの条件を満たす必要があります。
1.重症のスギ花粉症であること
アレルギー性鼻炎は自覚症状の程度によって4段階に重症度を分類しています。
4段階のうち、重症と最重症であることがゾレアを使う条件の1つとなっています。
上の図の程度に書かれている+3つが重症、+4つが最重症です。
種類に書かれているくしゃみ、鼻汁、鼻閉、日常生活の支障度、が自覚症状を表します。
自覚症状のいずれか1つでも程度が重症以上であれば重症と診断します。
2.血液検査で一定以上の数値を示すこと
ゾレア投与前のスギ花粉特異的IgE抗体がクラス3以上、尚且つ総IgEの数値が50~1300IU/mlの範囲にある必要があります。
辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科では血液検査はしておりませんので、ゾレアを試したいという方は他の医療機関で血液検査を受けなくてはなりません。
3.点鼻薬と内服薬で効果が不十分であること
ステロイド点鼻薬とケミカルメディエーター受容体拮抗薬(内服薬)で治療をしても先に挙げた重症度分類の重症以上の状態が1週間以上続いていると効果が不十分と判断します。
しかもこれは同一の医療機関で確認がなされていなくてはなりません。
どういうことかというと、点鼻薬と内服薬で治療する医療機関とその効果を確認する医療機関が同じでなくてはなりません。そしてその医療機関でのみゾレアの使用が許可されるということです。
ですので辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科で治療をして効果がなかったから他の施設を受診してゾレアを注射して下さいとお願いしてもいきなりその日にするのは無理で、新たに受診した施設でも点鼻薬と内服薬で1週間治療をして効果がなければそこで初めてゾレアを使えますよ、ということになります。
4.患者さんの年齢、医療機関の専門性
患者さんの年齢は12歳以上でなくてはなりません。
そして医療機関は4年以上耳鼻咽喉科診療を行った医者が在籍している施設か、3年以上季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギーの診療を行った医者が在籍している施設でないとなりません。
以上のようにゾレアを使うには制約が多いのと、ゾレアの使用には皮膚の副作用やアナフィラキシーショックを起こすリスクが少なからずあるそうです。
そこで、辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科ではゾレアは扱わないことに決めました。
ゾレアを試してみたいという方がいて条件に該当する場合には藤沢市民病院を紹介致します。
他の医療機関で血液検査を既に実施済みであれば問題ないのですが、実施していない場合は紹介した藤沢市民病院で血液検査を受ける必要があります。
もし血液検査の結果が基準値を満たしていなければせっかく藤沢市民病院を受診してもゾレアを使うことは出来ませんのでその点はご了承下さい。
なおゾレアを使用した際の医療費に関しては公式HPhttp://www.xolair.jpで詳しく扱っています。
血液検査の数値や年収などで医療費が変わってきます(高い人だと薬剤費だけでも一回の注射につき3割負担で5万5千円くらいかかります)。
興味のある方はご覧下さい。