耳の塞がった感じや自分の声が響く感じ等があるので耳鼻咽喉科へ行ったけど「鼓膜は綺麗だし、聴力検査も問題ないので異常なし」と言われて途方にくれた経験はありませんか?
その耳の症状は、もしかすると耳管機能異常が原因かもしれません。
耳管機能異常って何?
耳の奥(中耳)と鼻の奥は耳管という管で繋がっています。
この管は普段は入り口が閉じています。
嚥下(飲み込む動作)をすると耳管の入り口である耳管咽頭口が開きます。
耳管咽頭口が開くことで中耳の内圧と外気圧が均等になります。
誰しも一度は、鼻の調子が悪くなった時に耳が塞がった感じになったり、ツバを飲み込む度に耳の中でバリバリと音がしたことがありますよね。
これは耳管の働きが悪くなったせい(耳管機能異常)で起こっています。
耳管の働きが悪くなるとどうなるの?
耳管機能異常には耳管狭窄症、耳管開放症などいくつか種類があります。
簡単に言うと前者は耳管の開きが悪くなる病気で、後者は耳管の閉じが悪くなる病気です。
開きが悪くなる病気と閉じが悪くなる病気、全く真逆な病気ですが症状は似通っています。
どちらも耳が塞がった感じ(高い所へ登った時の感じ)、自分の声が響く感じ、耳鳴りがします。
耳管機能の調べ方
写真の耳管機能検査という機械で耳管の働きを調べることが出来ます。
1分もかからない検査で子供でも可能な検査です。
スピーカーを鼻の穴へ、プローブを耳の穴へ挿れてスピーカーの音が耳のプローブで拾えるかどうか確かめることで耳管狭窄症か耳管開放症か分かります。
上の写真が耳管機能が正常の人の波形(青い線の方)です。
そしてこちらが耳管狭窄症の人の波形です。
正常の波形に比べると山の高さが低くなっているのが分かると思います。
これは耳管が開きにくいので鼻から入れた音が耳の方へ届きにくくなっている事を意味します。
次の波形は耳管開放症の人の波形です。
正常の波形に比べると山が高くなった後でなかなかゼロまで下がらないのが分かると思います。
耳管の閉じが悪いので(開きっぱなしになっている)いつまで経っても音が届きっぱなしになっている事を意味します。
治療法は?
耳管狭窄症の治療
耳管狭窄の原因が副鼻腔炎や鼻炎であればそれらの治療をする事で良くなります。
一方、耳管そのものの機能が悪くなっている場合はなかなか根治させるのは困難です。
鼻から金属の管を挿れて耳管へ空気を通す耳管通気という治療方法が一般的ですが、これは定期的に続ける必要があります。
また通気の出来不出来は医師の技量に左右されます。
父はこの耳管通気がとても上手ですが、私は苦手なので辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科では実施していません。
辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科では耳管通気ではなくて「オトヴェント」という自分で耳管通気が出来る道具を勧めています。
これなら耳管通気をしに耳鼻咽喉科へ通い続ける必要がなくなります。
また慢性上咽頭炎が原因となる場合もあるとされています。
慢性上咽頭炎を疑う場合にはBスポット療法をすることもあります。
耳管開放症の治療
耳管開放症の原因が例えば過度なダイエットにある場合は、体重を元へ戻すだけで改善することがあります。
耳管狭窄症と同様に原因がハッキリしない場合は治療もなかなか難しく対症療法が中心になります。
当院では加味帰脾湯という漢方薬を使っています。
これはどこの耳鼻咽喉科でも耳管開放症に対して処方される一般的な薬です。
慢性上咽頭炎が原因となる場合もあるとされているので漢方薬を使っても良くならない場合にはBスポット療法をすることもあります。
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