冬の三大感染症ってご存知ですか?
秋から冬にかけて流行するインフルエンザウイルス、ノロウイルス、RSウイルス、この三つが冬の三大感染症と言われています(夏の三大感染症は手足口病、ヘルパンギーナ、アデノウイルスです)。
この中でのどの痛み、鼻水、咳、などの症状が出ることから耳鼻咽喉科と縁があるインフルエンザウイルスについて取り上げてみたいと思います。
インフルエンザは自然に治る病気
まず大切なのはインフルエンザに感染しても自然に治る病気なので慌てる必要はない、という事です。
基本的にウイルス感染というものは1週間程度で自然治癒します(細菌感染を併発してしまうと良くなるまで1週間以上かかる)。
それはインフルエンザに関しても同じです。
一部の例外を除いて治療をしないとどうにかなってしまうという事はまずありません。
家で安静にしていれば大抵は1週間程度で自然に良くなるのです。
なぜ皆インフルエンザで騒ぐのか?
では、なぜ自然に治ってしまうにも関わらずメディアなどは「インフルエンザ!インフルエンザ!」と騒ぐのでしょうか。
それはインフルエンザに感染すると症状が強く辛いことと、感染力が強く集団の中であっと言う間に広まってしまうからです。
従って人からうつされないようにすること、人へうつさないようにすること、が大切になってきます。
インフルエンザにかからない為に、うつさない為に
1.ワクチン接種
インフルエンザワクチンの効果は年代によって差はありますがだいたい50~60%と言われています。
インフルエンザウイルスは感染力が強いので学校や職場など人が大勢いるところで数人でも感染者がいると容易に大勢の人へ感染が広まっていきます。
ですので学校単位、職場単位、などで一人一人が予防接種をして抵抗力をつけておくことが感染を防止する上で非常に大切です。
インフルエンザのワクチンは接種してから免疫がつくまで2週間以上かかります。
効果は半年間くらい持続しますので10月か11月には接種しておくことをお勧めします。
鶏の卵を使ってインフルエンザワクチンを作りますがワクチンの中には卵の成分は含まれておりません。
ですので卵のアレルギーがあっても予防接種して大丈夫です。
もちろん、妊婦さんや授乳婦さんも予防接種して大丈夫です。
2.日常生活の中で予防
十分な睡眠、手洗い
抵抗力を落とさないよう、規則正しい生活、十分な睡眠、バランス良い食事、定期的な運動、などを心がけることが大切です。
それと手洗い励行、これも大切です。
日常生活で人は色々なところを手で触れます。
手で触れるという事はウイルスなどの病原体が付着するという事です。
インフルエンザウイルスが付着した手を鼻へ持ってくると感染する確率が高まりますので手洗いをしてウイルスを洗い流して下さい。
部屋の加湿
インフルエンザウイルスの寿命は乾燥下だと24時間以上ですが湿度が50%を超えると8時間程度にまで短くなります。
従って部屋の加湿をする事は非常に効果的と言えます。
咳エチケット
インフルエンザウイルスは人から人へ感染していきます。
子どもでも咳、くしゃみをすると1~2mは飛びます。
成人だと3mくらい飛ぶ場合もあるとされています。
そこで人へうつさない為に咳エチケットを心掛けて下さい。
上の絵のように
咳やくしゃみの際は他人から顔を逸らしましょう。
ティッシュなどで口と鼻を覆って咳やくしゃみをしましょう(ティッシュにはウイルスが付着しているので必ず捨てる)。
普通の布製のマスクはその隙間をウイルスが通過しますので咳やくしゃみをする際はマスクの上を手で覆いましょう。
インフルエンザにかかってしまったら
1.まずは自宅安静
安静が大切な理由は二つ
一つは安静にして身体の抵抗力を落とさないようにする為。
そして二つ目は他人へうつさない為、です。
2.抗インフルエンザウイルス薬
熱や倦怠感などの症状が酷くて寝ることすらままならないくらい辛い、と言う場合には抗インフルエンザウイルス薬を使います。
これは発症してから48時間以内に使わないと効果がありません。
なぜ48時間なのかというと、インフルエンザは人に感染してから約48時間でウイルスの増殖が完了します。
抗インフルエンザウイルス薬というのはこれ以上ウイルスが増殖するのを防ぐ薬です。
既に増えてしまったウイルスには効果がないのです。
ですのでインフルエンザウイルスが増殖を完了する48時間以内でないと効果がありません。
自宅安静の期間
学童に関しては学校保険法で規定があります。
発症してから5日が過ぎ尚且つ解熱してから2日過ぎたら感染力は既になくなっていると考えますので登校して構いません。
一方、成人に関しては学校保険法は当てはまりません。
ですので基本的には休職する必要は全くないのです。
休職するのか、どのくらいの期間休職するかなどは職場の定めたルールに従って下さい。
治癒証明書は不要です
厚生労働省の公式な見解として「インフルエンザの陰性を証明することが一般的に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求める事は望ましくありません」としています。
また、学校に関しても検査をして陰性であることを確認させたり、治癒証明書を一律に求める必要なしとしています。
学校保険法に則って発症から5日過ぎて尚且つ解熱して2日過ぎたら登校して構いません、ということです。
ですので原則として当院ではインフルエンザが陰性かどうか検査して確かめることや、治癒証明書は発行しません。