溶連菌は熱が出てのどが痛くなる

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溶連菌は熱が出てのどが痛くなる

小さいお子さんがいると「溶連菌(ようれんきん)」という言葉を耳にする機会が少なくないと思います。

では「溶連菌」ってどんなものかご存知ですか?

聞いたことはあってもどんなものであるかを説明出来る人はそう多くないと思います。

 

溶連菌ってなに?

電子式卓上計算機を略すと電卓になるのと同じように溶血性連鎖球菌を略したのが溶連菌です。

要するに細菌の名前です。

この溶血性連鎖球菌(以下溶連菌)が原因で起きる病気のことを溶連菌感染症と言います。

色々と種類はありますが最も多い溶連菌感染症がA群β溶連菌による急性咽頭炎や扁桃炎とされています。

一年を通して溶連菌感染は起こりますが、統計上では5~6月の初夏と12月~3月の冬にピークが来ます。

 

どうやって感染するのか?

咳やクシャミで飛んできた溶連菌を吸い込んで感染する飛沫感染、手や食べ物に付着した溶連菌が口の中へ入って感染する接触感染で感染します。

溶連菌は感染力が強いため、家族で誰かが感染すると他の家族にも高い確率で感染します。

感染力が最も高いのは溶連菌感染の症状が出始めた頃と言われています。

飛沫感染、接触感染が主な感染経路ですので感染予防に手洗い、咳エチケットが大切なのは言うまでもありません。

 

溶連菌に感染するとどうなる?

 

溶連菌による急性咽頭炎や扁桃炎を起こすと38℃以上の高熱が出たりのどが痛くなったり手足や身体に発疹が出ることが多いです。

典型的な場合は、のどを診ると写真の様に扁桃に膿栓が付着していたりイチゴ舌といってイチゴの表面の様に舌が赤くプツプツしているのが確認できます。

中には吐き気や腹痛を伴う場合もあります。

いわゆる風邪(ウイルス感染)と症状が似ています。

その一方でウイルス感染の時に多い鼻汁や咳と言った症状はまず出ないとされています。

発熱・咽頭痛・発疹は溶連菌感染症の3症状と言われていますが、3歳未満では熱が上がらないこともあったり、発疹が出ない場合もあります。

そしてウイルス感染で鼻汁や咳が出ている時に溶連菌に感染してしまうこともあるので「鼻汁や咳が出ているから絶対に溶連菌ではない」とまでは言えません。

従って「この症状があるから絶対に溶連菌感染症だ」とも言えませんし「溶連菌感染症なら必ずこうなる」とも言いきれないのです。

 

溶連菌はどうやって調べる?

では、どうやったら溶連菌に感染しているかどうか分かるのでしょうか。

自覚症状とその経過、診察結果などから溶連菌感染症を疑ったら検査をして調べます。

検査は口の中を綿棒で擦るだけで痛みはありません。

5分くらいで検査結果が出ます。

当院の検査キットはTの部分に赤い線が出たら陽性です

 

検査で注意しなくてはいけないのが溶連菌を単に保菌しているだけでも検査で陽性の反応が出てしまうと言うことです。

熱やのどの痛みの原因は溶連菌以外にあるけど、保菌しているので検査をしたら溶連菌の反応が陽性に出てしまった、と言うことも十分あり得ます。

必ずしも検査が陽性=溶連菌が原因とはならないのです。

当院では自覚症状とその経過、のどや口の中を診察した所見、検査結果、などから総合的に溶連菌感染症と判断する様にしています。

 

溶連菌感染症の治療方法

溶連菌は細菌なので抗生剤で治療します。

感染力の強い溶連菌ですが抗生剤が良く効きます。

抗生剤を使うとそこから24時間以内には感染力が失われます。

一般的にはペニシリン系抗生剤を10日間使います。

ペニシリン系抗生剤にアレルギーがある場合にはセフェム系抗生剤を使うこともあります。

 

溶連菌感染症の合併症

溶連菌感染症で腎炎やリウマチ熱の合併を心配されている方は多いと思いますが抗生剤で治療をすることで合併症になるリスクを減らすことが出来ます。

ですので過度に合併症を心配することはありません。

以前は合併症の腎炎を発見するため、溶連菌感染の治療が終わって2~3週間くらいしたら尿検査をしていましたが、辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科では尿検査はしません。

なぜかと言うと、合併症の頻度が稀であること、腎炎を発症するタイミングが決まっている訳ではなく検査の後に発症することもある、などから一律に尿検査をする意義が低いと考えているからです。

万が一、コーラ色した尿が出る(血尿)とか、浮腫んだり体重が増えるとか、腎炎の合併を疑うようなことがあれば尿検査は必須です。

 

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