10年以上も患っているベテランのスギ花粉症患者さんからは聞かれませんが、ここ数年でスギ花粉症を発症した方や、年によって症状が強く出たり弱く出たりするる方などからよく受けるのが「いつから薬を使い始めれば良いですか?」というご質問です。
果たして、いつからスギ花粉症の治療を開始するのが良いのでしょうか?
症状が少しでも出始めたら薬を開始しましょう
結論から述べます。
少しでも自覚症状が出始めたら薬を開始して下さい。
10年以上前は「2週間くらい前から薬を始めておきなさい」というような指導が行われていましたが最近は違います。
最近発売されている薬は即効性があります。
ですので症状が出始めた頃に使い始めれば十分とされています。
「始まったかな?」と感じ始めた頃から開始することをお勧めしています。
何週間も前から薬を使う必要はありません。
たまに「酷くなるまで我慢して我慢出来なくなったら薬を使う」という人がいますがこのやり方は絶対にやめましょう。
自覚症状が酷くなる頃は鼻や目の粘膜が既に過敏になっています。
そういう状態だといかなる薬を使ったとしても症状を抑えられなくなるからです。
酷くなる前に薬を使い始めるのがベストです。
スギ花粉は12月中も飛散しています
ご存知ない方も多いのですが実はスギ花粉は少量ですが秋冬にも飛散しています。
この時期のスギ花粉は鼻症状よりも咳の症状が出やすいとする報告もあります。
1月に入ると飛散量が増えてお馴染みのスギ花粉症の症状が出るようになります。
(✳︎1月はハンノキの花粉も飛びますからそちらの花粉症の可能性もあります)
その年の気温や天気などにも左右されますが、早い年だと1月中旬に「最近鼻が…」とか「目がちょっと…」とスギ花粉症の始まりを感じる方がいらっしゃいました。
20年以上耳鼻科医をしていますが、患者さんの話を聞いていると1月の下旬にはハッキリとスギ花粉症が始まったと自覚出来る方が多いような印象を受けます。
メディアで「飛散開始」と報道されるのが大体2月以降でその頃になると一気に大量のスギ花粉が飛び始めますので急に自覚症状が酷くなる方が増えます(どこの耳鼻咽喉科も1日に200人を超える患者さんが押し寄せて物凄く混雑します)。
薬は何が一番効くのか?
スギ花粉症で使う薬には色々な種類があります。
よく患者さんから「一番効くのを下さい」と言われますが、実はどの薬が効くのかは個人ごとに違います。
上図のように薬ごとに多少の傾向はありますが、実際の薬の効き方、副作用の出方は個人差が多いので使ってみるまでは分かりません。
また過去に使って効いた薬、逆に効かなかった薬、眠気が酷かった薬などがあれば、それを参考にして処方する薬を検討します。
ですので例え効果がなかったものでも薬の名前が分かるようにしておくことはとても重要です。
当院では飲み薬(もしくは貼り薬)だけでなく、積極的に点鼻薬や点眼薬も処方します。
なぜならアレルギー性鼻炎のガイドラインでは軽症のうちから飲み薬だけではなくステロイド点鼻薬も使って治療することが推奨されているからです。
スギ花粉が大量に飛散してしまうと鼻汁がダラダラ垂れたり、くしゃみが連発します。
そうなってしまうと、点鼻薬を使ったことで逆に刺激になって鼻汁やくしゃみが誘発されることがあります。
ですので飲み薬も点鼻薬も酷くなる前から使用を開始するようにして下さい。