皆さんは『中耳炎』と聞くと何を思い浮かべますか?
発熱したり耳の痛みを痛がる様子を想像する方が多いのではないでしょうか。
実は中耳炎にも色々な種類があるんです。
熱や耳の痛みが出ない中耳炎もあります。
急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、航空性中耳炎、ミルク性中耳炎など中耳炎の種類は様々です。
その中でも子どもに多い急性中耳炎と滲出性中耳炎について説明してみたいと思います。
急性中耳炎はウイルス感染が原因
まずは中耳炎の中で最もポピュラーな急性中耳炎についてです。
急性中耳炎は急に熱が出たり耳が痛くなる中耳炎で、原因の大半はウイルス感染です。
要するに風邪が原因ということですね。
ウイルス感染によるものなので基本的には自然治癒します。
しかし、中には細菌感染を併発して抗生剤を使って治療しないと治らない場合もあります。
急性中耳炎かどうかは鼓膜の状態を目で見てそれで診断します。
上の写真のように急性中耳炎は鼓膜が赤くなります。
炎症の程度によっては外耳道にまでその赤みが波及することもあります。
鼓膜の奥の空間(中耳もしくは鼓室)に膿がたまると写真のように濁った感じに見える場合もあります。
滲出性中耳炎の原因は色々
滲出性中耳炎は先ほど説明した急性中耳炎のように熱が出たり耳が痛くなることはありません。
鼓膜の奥の空間(中耳や鼓室)に分泌物がたまったり鼓膜が奥へ凹むだけなので聞こえにくさ、音が変な感じに聞こえる、篭った感じに聞こえる、といった聞こえに関する症状がメインです。
滲出性中耳炎になると耳が変に感じるので小さい子だと不機嫌になったり、耳を手で触るような仕草をしたり、頭や首を振ったりすることがあります。
ただし、無症状の場合も少なからずあります。
ですので耳鼻咽喉科や小児科で耳の診察をして初めて滲出性中耳炎を指摘された、というお子さんもいます。
滲出性中耳炎かどうか診断するにはやはり鼓膜の状態を目で見る必要があります。
補助的に鼓膜の動きを調べる検査をして診断に至ることもあります。
さて、そんな滲出性中耳炎ですが原因はいくつかあります。
1つ目は先ほど説明した急性中耳炎です。
急性中耳炎が治る過程で滲出性中耳炎へ移行することがあります。
実は先ほどの2枚の写真は同一人物のものです。
最初に来院した時には急性中耳炎で、それが治ってきたところで滲出性中耳炎になりました。
せっかくなのでその後、滲出性中耳炎が治癒した際の写真も載せておきましょう。
黄色っぽい分泌物がたまっていましたがそれが消えて透明な鼓膜だけが確認できます。
この状態になるまで早くても数週間、長いと1ヶ月以上かかる場合もあります。
急性中耳炎が数日から1週間程度で治るのに比べて滲出性中耳炎が治るには時間がかかることも珍しくはありません。
滲出性中耳炎のもう1つの原因は鼻です。
鼻の奥には耳とつながる耳管という細い管があります。
その管の働きが悪くなると鼓膜が奥へ凹んだり、鼓膜の奥の空間に分泌物がたまり滲出性中耳炎になります。
副鼻腔炎や鼻炎やアデノイド肥大があると耳管の働きが悪くなり滲出性中耳炎を起こすことがあります。
目で見て分かるようにー当院での取り組みー
ハッキリ言ってしまうとどこの耳鼻咽喉科を受診しても急性中耳炎も滲出性中耳炎も治療内容は変わりません。
辻堂たいへいだい耳鼻咽喉科でも特別な治療をしているわけではありません。
当院では内視鏡で鼓膜の様子を撮影して耳がどういう状態なのか、患者さんにも目で見て分かるようすることを心がけています。
患者さんの立場からすると医者から「鼓膜の奥に膿が溜まってます」とか「鼓膜の奥に溜まっていた分泌物が減りました」とか言葉で説明されただけではピンとこないと思うからです。
でも下のように実際の様子を目で見ることが出来たらどうでしょう。
その時の状態だけでなく、変化していく様子も分かるので言葉だけで説明を受けるよりも理解しやすいのではないでしょうか。
滲出性中耳炎は数ヶ月は薬を続けるため通院を続ける必要があります。
何か症状があればまだしも無症状の場合、途中で通院をやめてしまう方もいます。
自分の子どもの耳が、果たして良くなってきているのか、それとも変わらないのか、一体どういう状態なのか分かることが治療を続けていくモチベーションに繋がってくれると嬉しいです。
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